【第八話】 投資詐欺で2,300万円の損失を出した全貌を赤裸々告白

 

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====ここから第八話====

 

 

2015年は、私の32年間の人生の中で
どん底であったと言ってもいいだろう。

 

 

生きていれば誰しも

「今年は辛い年だった」と

思う一年があると思う。

 

 

私にとっては母親が
亡くなった高校3年の夏と、

今回の事件があった
2015年がそれにあたる。

 

 

よくビジネスは掛け算で
成り立っていると言われている。

 

 

集客×セールス × 商品力 × アフターフォロー

 

 

このように分解して考えていくと
あることに気がつく。

 

 

掛け算という性質上、
どれかにマイナスがあると
結果もマイナスになるということだ。

 

 

 

いくら集客ができても、
いくらセールスに優れていても、

今回のように商品・サービスが
詐欺的なものであれば、
結果もマイナスになるのである。

 

 

 

それを私は身を持って体験した。

 

 

今回の事件が発覚してから
お客様へ謝罪し、
領収書整理で
お金の流れを追った。

 

 

Kがどのように集めたお金を
無くしたか把握はできた。

 

 

ここからどのように返済をしていくか、
頭を切り替えなければいけない。

 

 

しかしKの悪行は
これだけでは終わらなかった。

 

 

全く予想しなかったところから、
耳を塞ぎたくなる新事実が
発覚することになるのである。

 

 

■留守番電話に謎のメッセージ

 

 

 Kの事件が発覚してから
一週間ほど経過した時のことだ。

 

 

私の携帯に知らない番号から
着信が残されており、留守番電話に
メッセージが吹き込まれていた。

 

 

留守電を確認すると、

 

「小川さん、突然のご連絡すみません。
 Iと申します。

 Kの件でお話がありますので、
 折り返しご連絡を頂けないでしょうか?」

 

とメッセージが残されていた。

 

 

なんだろう?と思い、
Iと名乗る方に電話をかけた。

 

 

 

プルルルルッ

 

 

Iさん : はい。

 

 

小川 : 初めまして。小川と申します。

 

 

Iさん : あっ、小川さん。初めまして…ではないんですけど。
突然の連絡すみません。僕のこと覚えていませんか?
一度、Kの家の玄関で一瞬お会いしたことがあるんですけど。

 

 

小川 : Kの家の玄関で…?

 

 

あっ!

 

 

そう言えば事件発覚のかなり前に、
Kの部屋を訪ねてきた男性がいた。

 

 

その時は、たまたまKが
昼食を食べに外に出ていて、

私がKの部屋に一人で
残って作業をしていた。

 

 

おそらくその時、
Kを訪ねてきた男性だ。

 

 

Kが留守であることを伝えると、
「また来ます」と言って帰っていった。

 

 

小川 : 覚えています。本当に一瞬ですがお会いしていますね。

 

 

Iさん : はい、覚えててくれて良かったです。
実は小川さんと話がしたくて、Kから連絡先を聞いて電話をしています。

 

 

小川 : Kからですか?

 

 

Iさん : そうです。今、Kと一緒にいるんです。

 

 

小川 : はぁ。

 

 

Iさん : はい。実は私、小川さん達の前の被害者です。

 

 

小川 : えっ…?前の……被害者……ですか?

 

 

Iさん : そうです。小川さん達の運用が開始する1年前くらいに、Kにお金を預けていたんです。でも、運用を開始して半年くらいで、Kと音信不通になってしまって。

そこからKにコンタクトを取ろうと動いていて。ようやくKをつかまえられたのが、小川さんとお会いした直後だったんです。

Kにお金を返せと問い詰めたら、「小川さんという人と運用の事業をしていて、それはうまく利益が出ている。もうすぐ返済を開始できるから、もう少し待ってほしい」と言われたんです。それで様子を見ていたら、また音信不通になって。

今日、ようやくKをつかまえて話を聞いたら、「運用の事業に失敗して返済できなくなった」と言われたんです。

それで僕達も「ふざけるな!」となって、今Kの実家に行って、両親に事情説明をしに行くところなんです。

 

 

 

マジか…

 

 

全く予想していなかった訳ではないが、
こうして現実を突きつけられると
目の前が暗くなる。

 

 

小川 : ちなみに、被害額はおいくらですか?

 

 

Iさん : 約3,000万円です。

 

 

小川 : さ、さんぜんまんえんですか?

 

 

Iさん : はい、そうです。

 

 

今回の被害額2,300万円にプラスして
さらに3,000万円の損失。

 

 

絶望的な気持ちになった。

 

 

それからIさんは、
私とKが事業を始める前の出来事を
詳しく語ってくれた。

 

 

 

Kとは大学のサークル仲間であること。

 

 

サークル仲間でKにお金を出して
運用を開始したこと。

 

 

サークル仲間は公務員で
蓄えのある人が多かったので、
多くの資金が集まってしまったこと。

 

 

最初は利息の支払いがあったが
数ヶ月経ってから入金が止まったこと。

 

 

それからKが音信不通になり
姿をくらませたこと。

 

 

ようやくKの身柄を押さえたら
Kが3,000万円の資金を
溶かしていたこと。

 

 

お金の返済を要求したら
Kは新しいビジネスパートナーと
事業を始めていて順調に利益が
出ていると語っていたこと。

 

 

新しい事業で利益が出ているなら
返済見込みがあると思い、
ひとまず様子見にしたこと。

 

 

しかし、一向に返済が
始まらないので
Kに連絡をしたら
再び音信不通になったこと。

 

 

今日、ようやくKを
つかまえて問い詰めたら
今回の運用失敗が分かったこと。

 

 

もう埒が明かないと思い、
今Kの実家に向かって両親と
話をしにいくということ。

 

 

 

これらを分かりやすく説明してくれた。

 

話し方から頭の良い方なのだと思った。

 

 

小川 : そうでしたか。いや、もうなんて言ったらいいか分からないです。ほんとKは最悪ですね。

 

 

Iさん : そうですよ。僕達も騙されて、本当に痛い思いをしました。

 

 

小川 : 僕のお客様とIさん達で、トータル5,300万円ですか。今のKに返済させるのは絶望的な数字ですね。

 

 

Iさん : それだけじゃないみたいですよ。

 

 

小川 : えっ?

 

 

Iさん : どうやらKは、僕達の前にも運用に失敗しているので、小川さんで3回目のようです。

 

 

小川 : だったら、もっと損失があるんですか!?

 

 

Iさん : その可能性があります。Kは、僕達の前の人はもう問題ないと言っていますが、1,000万円以上の損失を出しているようです。

そして、両親からも2,000万円近く借りているので、合計したらいくらの損失を出しているか分からないですね。

 

 

もう金額が大きくてついていけない。

 

 

小川のお客様の損失 : 2,300万円。

Iさん達の損失 : 3,000万円。

Iさんの前の損失 : 1,000万円。

親からの借金 : 2,000万円。

 

 

合計すると8,000万円を超える金額だ。

 

 

つまりKは、8,000~9,000万円も
損失を出していることになる。

 

 

1億円に迫る損失額を聞いた時、
正直「終わった」と思った。

 

 

今のKにこれだけの金額を
返済する能力はない。

 

 

ヘタをしたら新聞に載る金額である。

 

 

ここまで投資で負け続けている人間を
もはやトレーダーとは言わないだろう。

 

 

Kは病的なギャンブラーだったのである。

 

 

小川 : Iさん、すみませんがKに電話を代わってもらっていいですか?

 

 

Iさんにお願いし、
Kと電話を代わってもらった。

 

 

小川 : お前、また嘘ついてたの?

 

 

K : …すみません。

 

 

小川 : お前の何を信じればいいわけ?俺に言ってたこと全部嘘だろ。

 

 

K : …すみません。

 

 

小川 : 電話で何を言っても仕方がないから、実家から戻ってくる時連絡して。
戻ってきたらすぐに会いたいから、いつも会ってるミスドに来て。

 

 

K : 今からですと、遅くなるかもしれませんが…

 

 

小川 : そんなのはどうでもいいから、戻ってきたら連絡して。

 

 

K : 分かりました。

 

 

そしてIさんにも

「Kの実家を出る時に連絡をしてほしい」

と伝えた。

 

 

またKが音信不通になっても困るので、
実家を出たらIさんに教えてもらい、

Kが直接私のところに来るように
誘導してもらった。

 

 

電話で話をしたのは、
17時~18時頃だったと記憶している。

 

 

私はIさんからの連絡を待つことにした。

 

 

おそらくKが戻ってくるのは
夜遅くなるだろう。

 

 

戻ってくるまでに、
ある程度
考えをまとめて
おかなければいけない。

 

 

しかし、
Iさん達の損失を合わせると
5,300万円にのぼる。

 

 

もし他にも損失があり、
返済する必要が出てきたら
さらに額は膨れ上がる。

 

 

それだけの金額を
今のKに返済させるには、
一体どうすればいいのだろうか。

 

 

 

考えもまとまらないまま
時間だけが過ぎていく。

 

 

私はKと待ち合わせしているミスドで
Iさんからの連絡を待った。

 

 

■ミスドでの修羅場

 

 

夜の21時頃、
Iさんから連絡があった。

 

 

Kの両親との話が終わったようだ。

 

 

小川 : Kの両親とはどのような話になりましたか?

 

 

Iさん : 全然ダメですね。期待していた通りにはなりませんでした。
両親が少しでも損失分の援助をしてくれたらと思ったのですが、すでに両親もKから2,000万円近く援助をしているみたいで、ギリギリの生活を送っているようです。

 

 

小川 : そうですか。

 

 

Iさん : ご両親もKを見捨てているような感じです。ご両親というより、お父さんの方ですかね。

話を聞いていると、お父さんに内緒でお母さんがKにお金を渡していたみたいで。お父さんはそれを知らなかったみたいです。

今回のように人を騙してお金を集めていたことも知らなかったみたいですし、ご両親をあてにするのは難しいと思います。

 

 

この辺りの考え方は
人それぞれだと思うが、

正直私は、Kの両親から
返済してもらおうとは
思っていなかった。

 

 

両親とはいえ、
二人には直接関係のない話だ。

 

 

K本人から
どのように返済させるかに
焦点を絞って考えていた。

 

 

小川 : Kは何か言ってましたか?

 

 

Iさん : お金を返すとは言っています。ただ、ご両親が働いて返済しろと言っても、最初は首を縦には振らなかったですね。

投資をさせてほしいと言っていました。もう狂っているとしか思えませんよ。この状況で投資がしたいなんて。しかも、投資で返済できると本気で思っているんですから。

2時間くらいご両親が「働いで返せ」と言い続けて、ようやく頷きましたけど、本心では納得している感じではなかったですね。

 

 

小川 : ありがとうございます。Kに代わって頂いてもいいですか?

 

 

再びKに電話を代わってもらった。

 

 

小川 : ミスドで待ってるから、すぐ来いよ。

 

 

K : はい…

 

 

私はIさんにお礼を告げ、
電話を切った。

 

 

そして、夜23時頃にKがミスドに現れた。

 

 

一気に怒りの感情が噴き出てきた。

 

 

現れたKの表情は
悲壮感に満ちていた。

 

 

まるで死刑宣告を受けた人間のようだ。

 

 

しかし、その時の私にはKの
リアクションに
構っていられる
余裕は一切なかった。

 

 

Kは「すみません」と言って
私の前の席に座り、
私から話を切り出すのを待っていた。

 

 

私はその態度にも
怒りの感情が出てきた。

 

 

 

誠意があるなら、
まずはきちんとした
謝罪をするべきではないのか?

 

 

このまま私が黙っていても
Kはダンマリを続けるだろう。

 

 

結局、私から話を切り出すしかない。

 

 

小川 : どういうこと?お前さ、俺が他に損失がないか聞いた時には「ありません」って答えてたよな?完全に嘘じゃねーかよ。

 

 

K : はい…

 

 

小川 : なんでそんな嘘ついたんだよ?

 

 

K : はい…

 

 

小川 : 「はい」じゃなくてよ!なんでそんな嘘をついたんだって聞いてんだよ!

 

 

他のお客様もいる夜中のミスドで
私はドスのきいた声を出し、
Kの胸ぐらを掴み、睨みつけた。

 

 

私は今までの人生の中で、
Kほど胸ぐらを掴んで
キレた人間はいない。

 

 

胸ぐらを掴んでも、
今回のKは言葉を発さない。

 

 

完全に委縮してしまっている。

 

 

小川 : Iさんの話が本当なら、今返済する必要がある金額がトータル5,300万円だぞ。
どうするつもりなんだ?2,300万円と5,300万円だったら、全然話が変わってくるだろ。

 

 

K : …お金は返済いたします。

 

 

小川 : だから、どうやって返すつもりなんだよ。
お前、全部口だけじゃねーかよ。

 

 

K : これから仕事を探します。

 

 

小川 : 仕事を探すって言ったって、お前まともに働いたことないだろ。そんな人間がいきなり高収入の仕事に就けると思っているわけ?

せいぜい月20万円程度が関の山だろ。月20万円からお前の生活費を引いたら、返済できる額なんて月10万円くらいだろ。それで返済するのに何年かかると思ってんの?

それに、お前が途中で逃げ出さない保証もないんだぞ。お前のことだから、都合が悪くなったらすぐ音信不通になっていなくなるだろ。

 

 

K : いえ、必ずお返しします…

 

 

小川 : だから、お前がその約束を守る保証がないんだよ。これだけの嘘を積み重ねてきて、信用できる要素がどこにあるんだよ。

お金を返すって言うなら、お前が考える返済プランっていうのを俺に見せろよ。

 

 

K : はい、すぐに返済プランを作ります。

 

 

小川 : だったら明日の夜時間作るから、それまでにまとめておいて。

 

 

K : …はい。

 

 

小川 : 返済プランを見てから、どうしていくか決めていくわ。言っておくけど、自分で投資をするのは絶対に認めないからな。きちんと働いて返済するプランを作ってきて。

 

 

K : …はい。

 

 

お店も閉まるので、その日は
Kとの話し合いを終えて帰宅した。

 

 

Kが隠していたことが分かる度に
事態が悪くなっていく。

 

 

■Kの返済プラン

 

 

翌日、Kが出してくる返済プランを
確認するためにKの自宅に向かった。

 

 

事件後から、Kの家からは
どんどん物が無くなっていた。

 

 

Kは現在無収入で援助もない。

 

 

家にある物をオークションで売って
なんとか食い繋いでいる状況である。

 

 

家賃が払えなくなり
マンションを追い出されれば、
Kがどこかに逃亡するリスクが高くなる。

 

 

それを避けるためにも
一刻も早く一定の収入を
確保する必要があった。

 

 

さて、Kはどのようなプランを
考えてきたのだろうか。

 

 

小川 : 返済プラン考えた?

 

 

K : はい。

 

 

小川 : じゃあ、説明して。

 

 

K : はい…

 

 

Kから出てきた返済プランは
大きく分けて3つだった。

 

 

1.実際に稼いでいるトレーダーに雇ってもらう

 

2.銀行や証券会社の「雇われトレーダー」になる

 

3.寮のある職場を探し、住み込みで働く

 

 

 

んー、微妙なプランばかりだ。
はっきり言って1と2は現実的ではない。

 

 

そもそもKがそんなところで
雇ってもらえるとは思えない。

 

 

時間をかければ可能性もゼロでは
ないだろうが、この緊急時に
そんな悠長なことは言っていられない。

 

 

緊急性を考えると現実的なのは3だけ。

 

 

確かに寮のある職場に
住み込みで働けば生活費も浮くから
その分返済に回すことができる。

 

 

愛知のTOYOTAの工場などで
住み込みで働くことができれば、
それなりの収入を得ることもできるだろう。

 

 

しかし、ここで一つ問題が出てくる。

 

 

Kが私達の監視の目から離れる
というリスクが生まれる。

 

 

Kが目の届かないところで働くと、
当然、監視をする人間がいなくなる。

 

 

一人の人間を四六時中監視するのは、
実際には不可能に近いことだ。

 

 

 

今でさえ、Kの行動を監視するのは
大変な状況なのに、遠くに行かれては
監視どころではなくなる。

 

 

そのまま音信不通で
いなくなるというのも
十分に考えられる。

 

 

Kの人間性を考えると、
リスクもある選択肢だ。

 

 

 

ベストなのは、実家のご両親が
Kの収入と行動を管理し、

Kの収入からご両親が
返済をしてくれることである。

 

 

この状況を作れたら、K一人に
返済を任せるよりも安心感はある。

 

 

実家で固定費も浮くだろうし、
健康管理もしやすいだろう。

 

 

ただご両親の全面的な
バックアップがなければ
この話も成立しない。

 

 

Iさんの話では、ご両親もKを
見捨てているようなことを言っていた。

 

 

どうすればいいのか…

 

 

小川 : もう3しか選択肢はないだろうな。ただ、お前が目の届かないところで働くのは物凄いリスクだから、要検討だな。

まずは近場で条件の良い働き口がないか、片っ端から調べていこう。俺も良い情報がないか周りの人に聞いてみるから。

お前はネットや情報誌を調べて、良さそうなところをどんどんピックアップしていって。

 

 

K : 分かりました。

 

 

まずは選択肢3で
行動することになった。

 

 

正直、それ以外
有効な手立ては思いつかない。

 

 

後は条件が良いところが見つかるか

 

見つかってもKが働くことができるのか。

 

 

クリアしなければいけない壁は多いが、
やれることをやるしかない。

 

 

こうして、損失の返済のために
方向性を定めて動き始めるのだが、
これで終わりではなかった。

 

 

今回の投資詐欺事件には、
まだ多くの方に伝えていない続きがある。

 

 

「Kの最後の嘘」によって、
今回の事件は最悪の結末を
迎えることになるのである。

 

・・・

 

・・・

 

 

第九話に続く

【第九話】 投資詐欺で2,300万円の損失を出した全貌を赤裸々告白

 

 


好きなことで生きていくためには…

近い将来、人工知能が人間の仕事の大部分を奪っていくでしょう。ではなぜ「好きなことで稼ぐこと」が生き残り戦略として正しいと言い切れるのか?


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